医師会員全員参加可能なネットワーク構築を目指して

 伊都医師会(A会員85名、B会員48名)では、i−TOM という開発コード名で、平成13年1月よりA会員の94%の参加表明を受け、三菱電機情報ネットワーク株式会社(通称MIND)と共同でネットワーク作りを行ってきました。

 このネットワークで医療連携を構築するため、<<第一段階>>として「医師会員全員をインターネット環境に」を合い言葉に、参加表明された医師会員に同じ機種の同じOSのパソコンの設置を平成13年6月より始めました。第一段階のパソコン設置計画は、平成13年10月18日に完了しました。同じハードウェア環境は、操作方法などが分からない時にお互いに質問し合える、教えあえるといった効果が期待できます。
 私たち伊都医師会の会員メーリングリストは「****@ito-med.or.jp」といったメールアドレスで運用し、和歌山県医師会の発行する「****@ito.wakayama.med.or.jp」も会員全員が有しており、会員一人一人が日本医師会、和歌山県医師会とネットワークで直接繋がっています。

 ネットワーク化事業の
<<第二段階>>は、多くの診療科がその合併症のため関わりを持つと思われる疾患を取り上げ、疾患別ネットワークを「糖尿病病診・診々連携をネットで結ぶ」ために構築しているところです。
 従来のようなソフト開発ではない、医師会会員の意見を反映しながら作り上げるといった手法を取り入れることにより、医師会の主体性を第一義に考えたネットワーク作りを行っています。i−TOM カルテは各医師会員の要望を積極的に取り入れ、各会員用にカスタマイズされたアプリケーションを用いることにより、システムを使いこなすための講習会などを少なくするといった利点を持ったシステムとなっています。同時にご高齢の会員にも利用していただきやすいシステム作りを行っています。医者に易しい、患者に優しい、使われることのない使えるシステム。日常診療における「医者のための便利な道具」でなければいけないと考えているからです。
 また伊都医師会では地域医療連携を目的に伊都医療圏内に1Patient-1Life-1ID制(各医療機関の従来の患者ID番号と併用使用ができる)を導入し、情報のデータベース化、共有化を行うことでゾーンディフェンス医療」という概念で医療の質の向上と効率化をめざしています。

 伊都医師会ネットワーク事業の
<<第三段階>>は、伊都医師会立「ゆめ病院」構築です。疾患別ネットワークを融合させるといった手法を取り入れ、すべての医師会員は各自、自分用にカスタマイズされたソフトが使える、「使用する利用者のわがままを聞き入れられる柔らかソフト」を用いたネットワーク上の仮想病院です。 内科・外科・小児科などといった診療科別の縦割りの診療ではない、患者さんを主体に考えた「患者その人科」を創設し、患者その人の生涯にわたる健康管理を目指したバーチャルホスピタルとして運用します。

 患者に対するインフォームドコンセントや医師会員に対する理解を得るために、1〜2回/月の委員会の開催、また医師会館に準備した10台のパソコンを使った講習会を開催してきました。バーチャルホスピタル「ゆめ病院」は伊都医師会の考える運用規程で運用されます。